資料の整理をしていると、以前手がけたスケッチブックの中から、一枚の手描きプランが目に留まりました。
最終的にお客様と選んだ着地点とは別の形となったため、実際の建物としては立ち上がらなかったプランですが、私の中で「光と風をどう解くか」に深く向き合った、とても思い入れのある設計のひとつです。
■ 敷地の課題:周囲を隣家に囲まれた「細長い土地」
ご相談をいただいた敷地は、いわゆる「うなぎの寝床」と呼ばれる間口が狭く奥行きが深い土地。さらに東西南北を隣家に囲まれており、一般的な配置で家を建ててしまうと、日中でも奥の部屋まで陽の光が届かず、暗く湿気がこもりやすい住まいになってしまう条件でした。
こうした一見「悪条件」に見える土地こそ、設計士としての腕が試されます。
■ 設計の解法:光を真上から落とし、風を垂直に抜く
図面の上で何度も太陽の高度と風の通り道をシミュレーションし、辿り着いたのが以下の工夫でした。
- 中庭(光の井戸)の配置: 建物の中心に中庭を穿ち、外周からではなく「家の中央」から各部屋へ自然光を均等に届ける。
- 大屋根の勾配と吹き抜け: 屋根の傾斜を活かした高い位置にハイサイドライト(高窓)を設け、冬の低い陽射しを敷地の最深部までスッと呼び込む。
- 重力換気のルートづくり: 低い位置の地窓から涼しい風を取り込み、吹き抜け上部の窓へと熱気を逃がす自然な空気の流れを設計。
■ 土地の条件を言い訳にしない家づくり
どれだけ土地の形が不整形であっても、周囲に建物が密集していても、光や風を読み解くパッシブ設計の技術があれば、素直で居心地のよい空間を創り出す方法は必ず存在します。
図面を前に、消しゴムの粉を払いながら「どうすれば一番心地よい暮らしになるか」を徹底的に考え抜く時間。
その試行錯誤の熱量こそが、ラフターワークスが建てる一棟一棟の品質を支える土台となっています。
【家づくりの個別設計相談】
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