住まいの中で、台所は家族の日々の暮らしと健康を静かに支えるとても大切な場所です。
延岡市の「無鹿の家」では、お施主様ご夫婦がそろって料理に立ち、ご主人は魚釣りが趣味。「釣ってきた大物を気兼ねなく捌ける、頑丈で使い勝手の良いキッチンにしたい」というご要望から、ラフターワークスとして初めて「フルオーダーの造作キッチン」に挑戦することになりました。
暮らしと道具から逆算する設計

既製品のシステムキッチンとは違い、ゼロから形をつくる造作キッチンでは事前の丁寧な聞き込みが欠かせません。
普段お使いの調理器具や食器の量、調味料の置き場、そしてお二人が並んで立つときの動線や作業スペースの広さ。日々の細かな暮らしの所作を一つずつ伺いながら、ミリ単位で寸法を詰めて図面を描き起こしていきました。
つくり手とともに重ねた試行錯誤

初めての取り組みだったこともあり、設計を担当した私自身はもちろん、実際に形にしてくれる大工さんや家具職人さんたちにとっても試行錯誤の連続でした。
無垢の木の特性を読みながら天板を削り合わせ、引き出しの収まりや水回りの納まりを現場で何度も確認し合って、ようやく思い描いた形へと仕上がりました。

職人さんの丁寧な手仕事によって出来上がったキッチンに立ったとき、空間にすっと馴染む木の佇まいと、確かな手応えを感じたことを今でも覚えています。
この「無鹿の家」での経験がきっかけとなり、今ではラフターワークスの家づくりにおいて、台所はすべて暮らしに合わせたオーダー造作でご提案するようになりました。
使う人の手に馴染み、年月とともに風合いを深めていく台所。これからもご家族の暮らしに寄り添う場所を、一つひとつ丁寧に形にしていきたいと思っています。

コメント