大半の工事が無事に完了し、お引き渡し前の美装(クリーニング)を目前に控えた「くろんごの家」。
この日は、現場全体が雨に包まれる一日でした。
一般的には敬遠されがちな雨の日ですが、建築の設計に携わる者として、私は現場で雨の景色をじっと眺める時間がとても好きです。
「雨を楽しめる家は、良い家である」
そう確信させてくれる景色が、この住まいには確かに息づいています。
手仕事で仕上げた塗り壁の陰影、木目の美しい造作キッチン、そして雨に洗われて深みを増す周囲の山と木々の緑。
切り取られた窓の景色に目を向けると、屋根から集まる雨水が「鎖樋(くさりとい)」をつたい、水受けの自然石へと美しい水の筋を描きながら落ちていきます。
鎖樋を滑り落ちる水の表情と、耳に心地よい水音。 雨に濡れて瑞々しさを増す庭の緑。 そして、外の空気とは対照的な、無垢の木と自然素材が包み込む室内の心地よさ。
晴れた日の明るさや開放感はもちろんのこと、雨の日には雨の日にしか味わえない情緒があり、静かに心を整えてくれる居場所がある。
自然を閉め出すのではなく、移りゆく天候のすべてを大らかに受け入れることこそが、住まいに豊かな時間をもたらしてくれるのだと感じます。
いよいよ最後の仕上げを行い、お施主様へとバトンをお渡しする準備を進めてまいります。

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